特徴的な形の因数分解(複2次式・交代式)

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この記事では特徴的な形の因数分解として複2次式と交代式を紹介します。形がある程度決まっているので、知っていれば得点に直結しやすいです。ぜひマスターしてください。

目次

1. 因数分解するときの考え方(前回の復習)

目次

前回の記事「因数分解の意義と考え方」で因数分解の共通の考え方を解説しました。 今回はその考え方で最初に出てきた式のパターンを調べるを特に思い出しましょう。 つまり、問題の式を見たときにこれから紹介する特徴的な形に気付けるようにすることが大事です。

1文字2文字以上
2次以下
  • たすき掛けなどの基本問題
  • たすき掛けを利用する問題
3次以上
  • 一部を展開してから因数分解
  • 複2次式
  • 因数定理を利用する問題
  • 共通因数を括った後、2次以下へ
  • 交代式(3文字)

(※この記事では表中の下線がついているものを扱います。)

因数分解の公式一覧(復習用)
  1. \(a^2+2ab+b^2=(a+b)^2\)
  2. \(a^2-2ab+b^2=(a-b)^2\)
  3. \(a^2-b^2=(a+b)(a-b)\)
  4. \(acx^2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)\)
  5. \(a^3+3a^2 b+3ab^2+b^3=(a+b)^3\)
  6. \(a^3-3a^2 b+3ab^2-b^3=(a-b)^3\)
  7. \(a^3+b^3=(a+b)(a^2-ab+b^2)\)
  8. \(a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2)\)
  9. \(a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)^2\)
  10. \(a^3+b^3+c^3-3abc=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)\)

2. 複2次式

目次

\(ax^4+bx^2+c\)の形をした\(x^2\)についての2次式のことを複2次式といいます。セオリー通り考えると\(x^2\)が共通部分なので、たすき掛けの利用が予想されます(前回の記事参照)。もちろんこれが1つ目の解法となります。しかし、この方法で解けない場合に考える2つ目の解法があります。

たすき掛けで解けない複2次式の解法

\(ax^4+bx^2+c\)\(=(\sqrt{a}x^2±\sqrt{c})^2-(kx)^2\)と変形して平方の差の形にする。 (\(±\)は適当な方を選ぶ)

文字だとイメージが湧かないので、例題を見ていきましょう。

例題1 複2次式の因数分解
目次

次の式を因数分解してください。

  1. \(x^4-2x^2-8\)
  2. \(4x^4-48x^2+9\)
  3. \(x^4+64\)

※各解説・解答からこの例題に戻れます

例題1の(1)の解説
例題1

(1)は確認です。たすき掛けが利用できます。あえて複2次式で出題されている場合、このようにたすき掛けできる問題は少数派ですが、見落とさないように注意しましょう。

\begin{align}&x^4-2x^2-8\\[0.7em]={}&(x^2+2)(x^2-4)\\[0.7em]={}&(x^2+2)(x+2)(x-2)\end{align}

\((x^2-4)\)で終わらないよう確認を忘れずに

例題1の(2)の解説
例題1

今回はたすき掛けが使えないようです。なので、先ほど紹介した平方の差を狙いましょう。考え方としては、最初の項と最後の項の平方根の和or差を2乗します。すると、この式は元の式と\(x^2\)の項だけ一致していないので、その部分を調整します。この調整部分が\(-(kx)^2\)の形であれば平方の差に持ち込むことができます。具体的に(2)を解いて確認してみましょう。

まず、\(4x^4=(2x^2 )^2,\ 9=3^2\)に着目します。そこから\((2x^2+3)^2\)または、\((2x^2-3)^2\)が使えないか考えます。調整部分が\(-(kx)^2\)の形になる方を選択しましょう。

\begin{align}&4x^4-48x^2+9=(2x^2+3)^2-60x^2\\[0.7em]&4x^4-48x^2+9=(2x^2-3)^2-36x^2\end{align}

よって、\((2x^2-3)^2\)の方を選択します。

\begin{align}&4x^4-48x^2+9\\[0.7em]={}&(2x^2-3)^2-(6x)^2\\[0.7em]={}&(2x^2-3+6x)(2x^2-3-6x)\\[0.7em]={}&(2x^2+6x-3)(2x^2-6x-3)\end{align}

例題1の(3)の解説
例題1

\(x^2\)の項が無いので困惑しますが、これは\(ax^4+bx^2+c\)で\(b=0\)の場合と捉えます。その他は(2)と全く同じようにして解くことができます。

\begin{align}&x^4+64\\[0.7em]={}&(x^2+8)^2-(4x)^2\\[0.7em]={}&(x^2+4x+8)(x^2-4x+8)\end{align}

例題1の解答
例題1
  1. \((x^2+2)(x+2)(x-2)\)
  2. \((2x^2+6x-3)(2x^2-6x-3)\)
  3. \((x^2+4x+8)(x^2-4x+8)\)

たすき掛けで解けない複2次式の解法の気持ち

目次

今回登場したたすき掛けで解けない複2次式の解法の根本的な考え方は「もし因数分解したい式の指数が2や4といった偶数ばかりで、\((ある式)^2\)に近いならば平方の差が使えないか検討する」です。なぜ指数が偶数であることが目印かというと、このとき調整部分が\(-(kx)^2\)の形になりやすいからです。

このイメージを持っていれば文字の数が2文字以上の場合にも応用して解くことができます。

例題2 平方の差を使う因数分解
目次

次の式を因数分解してください。

  1. \(a^4+4b^4\)
  2. \(a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2a^2c^2-2b^2c^2\)

※各解説・解答からこの例題に戻れます

どちらも指数が偶数のみなので今回の解法が応用できるのでは?と考えてみます。

例題2の(1)の解説
例題2

この問題は例題1の(3)の定数項にも別の文字がくっついていると考えるとわかりやすいです。\(a^4=(a^2)^2,\ 4b^4=(2b^2)^2\)から\((a^2+2b^2)^2\)または\((a^2-2b^2)^2\)が使えないか考えてみます。

\begin{align}&a^4+4b^4\\[0.7em]={}&(a^2+2b^2)^2-(2ab)^2\\[0.7em]={}&(a^2+2b^2+2ab)(a^2+2b^2-2ab)\\[0.7em]={}&(a^2+2ab+2b^2)(a^2-2ab+2b^2)\end{align}

例題2の(2)の解説
例題2

こちらも2乗や4乗ばかりで怪しいですね。しかし項が多く、今までとは少し違うようです。そこでもう一度、式をよく観察してみましょう。全体の形が

\[a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)^2\]

に似ていることに気がつけたでしょうか?ただ、そのまま\((a^2+b^2+c^2)^2\)を使うと考えてみると、

\[a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2a^2c^2-2b^2c^2=(a^2+b^2+c^2)^2-4a^2b^2-4a^2c^2-4b^2c^2\]

となり、惜しいですが綺麗に平方の差になりません。ここがこの問題のもう一つの考えどころです。正解は次のようになります。

\begin{align}&a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2a^2c^2-2b^2c^2\\[0.7em]={}&(a^2+b^2-c^2)^2-(2ab)^2\\[0.7em]={}&(a^2+b^2-c^2+2ab)(a^2+b^2-c^2-2ab)\\[0.7em]={}&\{(a+b)^2-c^2\}\{(a-b)^2-c^2\}\\[0.7em]={}&(a+b+c)(a+b-c)(a-b+c)(a-b-c)\end{align}

平方の差を2回使う珍しい問題でした。\(a^2+b^2-c^2+2ab=(a+b)^2-c^2\)が分かりづらかったかもしれませんが、感覚としては元の式が\(a,\ b,\ c\)のバランスが取れているのに、

\[(a^2+b^2-c^2+2ab)(a^2+b^2-c^2-2ab)\]

で因数分解が終わると、バランスが悪く違和感があるといった感じです。この「バランスがいい」という感覚の数学的な捉え方は次の「交代式」にて説明します。

例題2の解答
例題2
  1. \((a^2+2ab+2b^2)(a^2-2ab+2b^2)\)
  2. \((a+b+c)(a+b-c)(a-b+c)(a-b-c)\)

ところで、

\begin{align}&(a+b+c)(a+b-c)(a-b+c)(a-b-c)\\[0.7em]={}&-(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)\end{align}

と変形すると「第1回 式の展開とその工夫」の例題5の形になっています。実は今回の問題はこの例題5の別解を逆向きに解いたものになっていました。

別解|\(a\)について整理した後、たすき掛けで解く

最低次の文字について整理し、たすき掛けで解く王道パターンです。

\begin{align}&a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2a^2c^2-2b^2c^2\\[0.7em]={}&a^4-2(b^2+c^2)a^2+b^4+c^4-2b^2c^2\\[0.7em]={}&a^4-2(b^2+c^2)a^2+(b^2-c^2)^2\\[0.7em]={}&a^4-2(b^2+c^2)a^2+(b+c)^2(b-c)^2\\[0.7em]={}&\{a^2-(b+c)^2\}\{a^2-(b-c)^2\}\\[0.7em]={}&(a+b+c)(a-b-c)(a+b-c)(a-b+c)\end{align}

第1回 式の展開とその工夫」の例題5の解説の逆向きの流れになっています。

3. 交代式

目次

交代式とは何かの説明から入ります。交代式は知っているよ!という人は「交代式の因数分解」に進んでください。(スキップ用)

対称式・交代式とは

目次

例題2の(2)の解説で

\[a^4+b^4+c^4-2a^2 b^2-2a^2c^2-2b^2c^2\]

のことを3文字のバランスがいいと表現しましたが、この感覚を数学的に捉えたものが対称式という概念です。対称式とは、「どの2つの文字を交換しても、元の式と同じになる多項式」のことです。文字を交換というところが分かりにくいですが、後で具体例を用いて説明します。

それに対して、今回の因数分解で扱いたいのはその仲間である交代式です。交代式とは、「どの2つの文字を交換しても、元の式の\(-1\)倍になる多項式」です。初見だと\(-1\)倍になるという部分もスッと入ってこないかもしれません。

ここからは具体例を見て確認しましょう。まず2文字の場合は例えば、\(x^2+xy+y^2\)を考えたとき\(x\)と\(y\)を入れ替えてみると、\(y^2+yx+x^2\)になります。このとき、\(y^2+yx+x^2=x^2+xy+y^2\)なので、\(x^2+xy+y^2\)は対称式となります。

続いて、3文字の場合は例えば、\(a^2(b-c)+b^2(c-a)+c^2(a-b)\)を考えたとき「文字を交換」は\(a\)と\(b\)を入れ替える他に\(b\)と\(c\)、\(c\)と\(a\)を入れ替える3パターンあります。今回、試しに\(a\)と\(b\)を入れ替えてみると、\(b^2(a-c)+a^2(c-b)+c^2(b-a)\)になります。このとき、

\begin{align}&b^2(a-c)+a^2(c-b)+c^2(b-a)\\[0.7em]={}&-\{a^2(b-c)+b^2(c-a)+c^2(a-b)\}\end{align}

が成り立つので、(\(b\)と\(c\)、\(c\)と\(a\)を入れ替えたときも同様に\(-1\)倍になる) \(a^2(b-c)+b^2(c-a)+c^2(a-b)\)は交代式となります。

4文字以上の場合も同じようにして考えます。また、詳しく知りたい人は「対称式・交代式まとめ(準備中)」をご覧ください。

交代式の因数分解

目次

交代式が何か分かったところで、早速ポイントを確認しましょう。

交代式の因数分解
  • \(a,b\)の交代式は\((a-b)\)を因数に持ち、\(a,b,c\)の交代式は\((a-b)(b-c)(c-a)\)を因数に持つ
  • さらに、これらの因数を除いた残りの因数は対称式になる

(補足|これらは4文字以上の場合も同様に成り立ちます。)

この証明については記事の分量の観点からここでは割愛します。「対称式・交代式まとめ(準備中)」をご覧ください。

2文字の場合はあまり出題されませんが、このことを使った重要な事項が一つあります。

\(n\)乗の差の因数分解

\[a^n-b^n=(a-b)(a^{n-1}+a^{n-2}b+\cdots\cdots+ab^{n-2}+b^{n-1})\]

\(n=2,\ 3\)の場合は公式として紹介しました。因数分解の問題として出題されることは少なめですが、使うことが多い等式です。特に、\(a^n-b^n\)が\(a-b\)で割れることを覚えておきましょう。

因数分解の問題では3文字の場合の出題が多くとても有効なので、例題を見ていきましょう。

例題3 交代式の因数分解
目次

次の式を因数分解してください。

  1. \(a(b^2-c^2)+b(c^2-a^2)+c(a^2-b^2)\)
  2. \(a^3(c-b)+b^3(a-c)+c^3(b-a)\)

※各解説・解答からこの例題に戻れます

どちらも3文字の交代式です。なので、\((a-b)(b-c)(c-a)\)を因数に持ちます。この時点で因数分解がほぼほぼ終わっています。あとは対称式の部分を決めるだけです。その決め方を見ていきます。また、別解として原則通り解いた場合を載せました。解く速さの違いに注目して見てみてください。

(注|対称式の部分を決めるときは厳密には恒等式の考え方を使いますが、今回は特に気にしなくても大丈夫です。恒等式について気になる人は「恒等式(準備中)」をご覧ください。)

例題3の(1)の解説
例題3

\begin{align}&a(b^2-c^2)+b(c^2-a^2)+c(a^2-b^2)\\[0.7em]={}&(a-b)(b-c)(c-a)\times(対称式)\end{align}

です。対称式の決め方はまず次数を調べて、次に係数を合わせます。今回の場合、元の式が3次式で\((a-b)(b-c)(c-a)\)も3次式なので対称式は0次(=定数)です。この定数を\(k\)とおいて、\(ab^2\)の係数を比較すると(他の項でも可)、\((左辺)=1,\ (右辺)=k\)なので、\(k=1\)と決定します。

\[a(b^2-c^2)+b(c^2-a^2)+c(a^2-b^2)=(a-b)(b-c)(c-a)\]

このように定数の場合は0次の対称式と捉えます。

別解|原則通り解いた場合

\begin{align}&a(b^2-c^2)+b(c^2-a^2)+c(a^2-b^2)\\[0.7em]={}&(c-b)a^2+(b^2-c^2)a+bc^2-cb^2\\[0.7em]={}&(c-b)a^2+(b+c)(b-c)a+bc(c-b)\\[0.7em]={}&(c-b)\{a^2-(b+c)a+bc\}\\[0.7em]={}&(c-b)(a-b)(a-c)\\[0.7em]={}&(a-b)(b-c)(c-a)\end{align}

このぐらいの分量だと原則通り解いてもまだ許容できそうな計算量ですが、時間制限が厳しいテストだとストレスになります。

例題3の(2)の解説
例題3

\begin{align}&a^3(c-b)+b^3(a-c)+c^3(b-a)\\[0.7em]={}&(a-b)(b-c)(c-a)\times(対称式)\end{align}

です。(1)と同じように考えます。元の式が4次式で\((a-b)(b-c)(c-a)\)は3次式なので対称式は1次式です。さらに元の式は4次の項のみなので、対称式に0次(=定数)の項が含まれることはありません。

よって、\((対称式)=k(a+b+c)\)とおけます。あとは\(k\)の値を決定するために\(a^3b\)の係数を比較すると、\((左辺)=-1,\ (右辺)=-k\)なので、\(k=1\)と決定します。

\[a^3(c-b)+b^3(a-c)+c^3(b-a)=(a-b)(b-c)(c-a)(a+b+c)\]

別解|原則通り解いた場合

\begin{align}&a^3 (c-b)+b^3 (a-c)+c^3 (b-a)\\[0.7em]={}&(c-b) a^3+(b-c)(b^2+bc+c^2 )a-bc(b+c)(b-c)\\[0.7em]={}&(b-c)\{-a^3+(b^2+bc+c^2 )a-bc(b+c)\}\\[0.7em]={}&(b-c)\{(a-c) b^2+(ac-c^2 )b-a^3+c^2 a\}\\[0.7em]={}&(b-c)\{(a-c) b^2+c(a-c)b-a(a+c)(a-c)\}\\[0.7em]={}&(b-c)(a-c)\{b^2+cb-a(a+c)\} \text{(←このあと、たすき掛けに行ってもいい)}\\[0.7em]={}&(b-c)(a-c)\{(b-a)c+b^2-a^2 \}\\[0.7em]={}&(b-c)(a-c)(b-a)(c+b+a)\\[0.7em]={}&(a-b)(b-c)(c-a)(a+b+c)\end{align}

前回の記事「第2回 因数分解の意義と考え方」の例題4の(4)です。解く速さの違いがよく分かると思います。

例題3の解答
例題3
  1. \((a-b)(b-c)(c-a)\)
  2. \((a-b)(b-c)(c-a)(a+b+c)\)

「交代式の因数分解」の汎用性

目次

(※出題率についての言及はあくまで筆者の感想です。)

3文字の交代式の因数分解を一気に解くことができる今回の解法は使える場面がかなり限定されているように思えます。実際、この解法は裏技として紹介されることが多いようです。

しかし、このパターンの問題は普通に解くと、「最低次の文字について整理・共通因数を作る・たすき掛け」といった因数分解の基本的な考え方の総まとめになるので思いの外テストでの出題率が高く、時間もかかります。なので、この解法を覚えておくことをおすすめします。

出題予想をすると、対称式の部分が1次のパターンが最頻出かつ普通に解くと時間がかかって大変です。逆に2次以上の例は筆者の場合、受験生含め高校時代に1回も見ませんでした。一応、以下に対称式の部分が2次式になる例を載せたので、興味のある人はご覧ください。

参考|3文字の5次式の交代式の因数分解

注|代表例として、5次式かつ4次以下の項がないものを扱います。

Q. 次の式を因数分解してください。

\[a^3 (b^2-c^2 )+b^3 (c^2-a^2 )+c^3 (a^2-b^2)\]

交代式なので

\begin{align} &(与式)\\[0.7em] =&(a-b)(b-c)(c-a)\times(対称式) \end{align}

とおけます。元の式は5次式で4次以下の項が存在しないので、対称式は2次式かつ1次以下の項を含みません。このとき、

\begin{align} &(対称式)\\[0.7em] =&k(a^2+b^2+c^2 )+l(ab+bc+ca) \text{(\(k,\ l\)は定数)} \end{align}

とおけます。

あとは、\(k,\ l\)の値を決定するために2か所の項を比較すればいいです。例えば\(a^3 b^2\)と\(a^4 b\)の係数を比べると、\(a^3 b^2\)は\((左辺)=1,\ (右辺)=k-l\)であり、\(a^4 b\)は\((左辺)=0,\ (右辺)=-k\)であるので、連立して解くと、\(k=0,\ l=-1\)になります。

\[a^3 (b^2-c^2 )+b^3 (c^2-a^2 )+c^3 (a^2-b^2 )=-(a-b)(b-c)(c-a)(ab+bc+ca)\]

4. まとめ

目次

今回の内容をまとめると、

  1. 複2次式はたすき掛けを試した後に平方の差の形を狙う。出題率は後者が高め。
  2. 指数が2や4ばかりのときは平方の差の形にできないか調べる。
  3. 「どの2つの文字を交換しても、元の式の\(-1\)倍になる多項式」を交代式という。
  4. 交代式の因数分解は3文字の場合がよく出て、\((a-b)(b-c)(c-a)\times(対称式)\)の形になる。
  5. \(a^n-b^n\)は\(a-b\)で割り切れる。

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