勉強法のアドバイス10選
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目次
- 勉強法のアドバイス10選
- アドバイスを受け入れるかどうかは自分で決める
- 応用を解くから基礎がわかる
- 間違えたら自分の答えをデバッグする
- 正答が再現できるように理由付けを考える
- 「一冊を"完璧に"」ではなく「一問を"丁寧に"」
- 問題集を周回するときは意味を考える
- 解説の言っていることが分かるならどんどん難しいレベルに挑戦しよう
- 直前期になったら標準問題に戻る
- 勉強時間や問題数といった客観的な指標には注意
- 勉強法は調べた上で好きにやろう
- まとめ
1. 勉強法のアドバイス10選
目次アドバイスを受け入れるかどうかは自分で決める
目次アドバイス記事を書くときに伝えているのですが、アドバイスが腑に落ちないときは自分の直感を信じましょう。
記事を書くにあたって試しに勉強法をネット検索してみたのですが、本当にたくさんのアドバイスが出てきます。 指導経験をもとにしたものや科学的に裏付けられたものなどさまざまです。
ですが、どのアドバイスもあなた自身に絶対当てはまるかどうかはわかりません。 受け手には受け入れる自由も拒否する自由もあります。
例えば、科学的に証明されたアドバイスは学習効率の観点から最適だったとしても、そこにモチベーションの観点は含まれているでしょうか。 勉強を続ける上でモチベーションの維持は想像以上に大きな課題です。
そうは言ってもおおよそ当てはまるだろうし、もし違う方法で失敗したときに「ほらね?」と言われそうで怖いと感じる人もいると思います。筆者もそのタイプなので気持ちがよくわかります。 しかし、アドバイス通りにして失敗したとしても責任を取ってくれるわけではありません。もちろん、この記事だってそうです。
だから、自分自身できちんと決断してください。今回の記事では受験勉強の勉強法としてよく出てくるアドバイスに異議を唱えるものも登場します。 ちょうどアドバイスを吟味する題材になると思うので、鵜呑みにせず考えてもらいたいなと思います。
応用を解くから基礎がわかる
目次「応用は基礎の集まりだから基礎を固めるのが何より重要だ。」このような言葉を耳にした人も多いと思います。
突然ですが筆者がバスケ部に入っていた頃、ドリブルを練習してもなかなか相手を抜くことができませんでした。 それもそのはず、基礎練習はしていても実際に対人での練習量が足りていなかったのです。 だから、例えば「緩急をつける」練習をしていても実戦では上手く使えないし、どう「緩急をつける」と効果的かちゃんと分かっていなかったわけです。
勉強の例を出すと、例えば数学では「両辺を同じもので割るときに\(0\)でないか確認する」という基礎があります。 もしこれを中学生に教えたとしても、そもそも両辺を\(0\)で割る機会がないので「\(0\)で割るのは数学のタブーだから当たり前」ぐらいの認識で終わると思います。
しかし、高校生になって「両辺を文字で割る」という応用をするようになると先程の基礎が重要になります。文字式が\(0\)でないかを確認する必要が出てくるわけです。
このように、基礎は応用に登場することでなぜ大事で、どう使うのか分かるようになります。基礎だけをやっていても固まるものではありません。たとえ、"無理矢理覚えて"固めたとしても使えませんし、なぜ大事か分かっていないので結局忘れてしまいます。
しかし、「応用は基礎の集まりだから基礎を固めるのが何より重要だ。」という言葉は基礎が固まるまで応用に進んではいけないという印象を与えます。 これではいつまで経っても一人でドリブル練習することになります。
基礎を学んだら積極的にそれを活用する応用に取り組むようにしましょう。
間違えたら自分の答えをデバッグする
目次デバッグとはプログラム内の誤りを修正する作業のことですが、この言葉が一番しっくりきたので使っています。自分の答案が間違っていた場合は必ずデバッグしましょう。
本当に何も思いつかなかったときはともかく、何かしら自分で考えてそれが上手く行かなかったときはどこかに失敗の原因があります。 考え方を間違えたのかもしれませんし、計算ミスをしたのかもしれません。
その原因をなるべく詳しく調べてください。 考え方を間違えたならそれはそもそも問題文の意図が読み取れていなかったのか・忘れていた条件があったのか・成り立つと思っていたけどよく考えたら必ずしも成り立たない操作をしていたのか、 計算ミスをしたのなら具体的にどの計算を間違えたのか・実は字が汚くて読み間違えて計算ミスをしたのか、といった感じです。
これがかなり大変な作業で、理由は問題集の答えには正解は載っていてもあなたの解答がなぜ間違いかは載っていないからです。 その解答を生み出したのは他でもないあなた自身ですからね。しかし、丁寧にデバッグすればもしかすると別解を発見したり新たな知識を得たりできる可能性も秘めています。
デバッグ作業は難しいので困ったら周りの人に聞きましょう。ただ、周りの人に聞くにも実は結構大変で、やみくもに質問してもなかなか解決しません。 というのは、あなたがどういう風に考えたのかをきちんと伝える必要があるとともに、教える側はそれを理解した上で説明する必要があるからです。 教える側にとっては正解を教えることよりも質問者がなぜ間違えてどこが分かっていないのかを読み取り、それに答える方が遥かに難しいです。
質問の成功率を上げるためにはまず、自分の答案の考え方をもう一度整理しておきましょう。そして、できる限り分かることと分からないことの区別をつけて、質問のポイントを絞っておきましょう。 相手も人間なので思うような説明が返ってこなかったときは他の人にも聞いてみましょう。
かなり骨の折れる作業ですが間違いの原因は明確にして修正するように心がけましょう。
正答が再現できるように理由付けを考える
目次デバッグ作業お疲れ様でした。それでは正答をもう一度見てみましょう。バグ一つ無い綺麗な解答ですね。何をしているか確認したら次の問題に…と、ちょっと待ってください。
問題集の答えはバグは無いのですが一つ問題があります。それはあなたが作ったわけではないのでなぜそのように解き進めるのかが不明なのです。
たしかに答えには理由が書かれています、「〇〇に注目して…」と。しかし、なぜそこに注目するのかは書いてありません。まるで当然であるかのように進んでいきます。答えがわかっている人の視点なのです。
しかし、これでは再びその問題を解いたときに答えられません。正答を再現できるようになるためにはきちんと理由付けをしておく必要があります。 本サイトでは解説をするときにそう解き進める理由を書くようにしているのですが、自分で勉強するときも同じことをしましょう。
理由付けをするときは正答を丁寧に読むことはもちろん、今までに似たような考え方を使ったことがないかを意識しましょう。 知識同士を紐づけていくことが大切です。
ただ、場合によってはどうも突拍子もない考え方で上手く紐づけられないこともあります。そういうときは一旦、そういうものだと納得しておきましょう。他の分野を学習したりすることで伏線回収されるケースが多いです。
デバッグに続いて地味な作業が続きますが、これをしておくと次回解ける確率が格段に上がります。
「一冊を"完璧に"」ではなく「一問を"丁寧に"」
目次受験勉強でよく言われる論争として「一冊を完璧に」vs「何冊も解く」というのがあります。これに対して筆者はそのどちらでもなく「一問を丁寧に」を提案します。
「一冊を完璧に」派の主張は「何冊も手を出すと結局どれも中途半端になるから一冊に絞った方がいい」というものです。中途半端になってしまうというのは説得力があります。ですが、それは本当に冊数が原因でしょうか。 そうではなく、一問一問取り組むときの姿勢が問題ではないでしょうか。取り組むときの姿勢とは「気合いが足りない!」とかいう話ではなく、先程のデバッグや理由付けの作業をきちんとしているかという話です。 これらをしようとすると嫌でも丁寧に進めざるを得ません。
だとすれば、冊数は問題ではないはずです。もし時間があれば、結果的に何冊も"解けた"だけの話です。無理やり冊数を稼ごうとすると、「一冊を完璧に」派が言うように中途半端に終わるでしょう。
「一冊を完璧に」の根本の考え方には賛成ですが、この言葉は「この世に完璧に完成された教材が存在してそれを\(100\%\)身につけることが正解である」という印象を与えます。 実際はそんな教材なんて無いですし、なるべくより多くの問題に触れた方がいいです。最近では問題集だけでなくWebサイトやYoutubeの解説動画などさまざまな媒体があるので、 視点を狭めずにいろいろな教材を見るのが良いと思います。
どんな媒体で出会った問題でも解くときはデバッグや理由付けまで含めて丁寧に取り組みましょう。
問題集を周回するときは意味を考える
目次「この本を◯周すればどんな問題も解けるようになる」と分厚い網羅系参考書がおすすめされることがありますが、それって本当にできますか?
この考え方の特に危険なのは周回数を稼ごうとしてなるべく高速で終わらせるようにするところです。 そうすると、どうしてもデバッグや理由付けをする意識は薄れていきます。
その結果、応用力が付きにくくなります。回数を稼いで覚える手法はパターンが完全に決まっている場合にはいいですが、 内容を正確に理解しているかが問われる受験問題の対策には不向きでしょう。
なので、基本的に一度自分の力で解けたらその問題は解き直さなくていいです。 一回だけだと忘れてしまいそうで心配という声もあると思いますが、大丈夫だと言う理由は次のアドバイスの説明にて一緒にします。
2周目以降は前回解けなかった問題に絞ってもう一度解きましょう。科学的にはちょうど忘れそうな頃に解き直すと良いそうなので、余裕のある人は意識してみるといいかもしれません。
ついでに本の選び方について、分厚い網羅系参考書(いくつか有名なものがありますよね)はあくまで辞書として使い、問題集はそれよりも、基本に絞るor少し背伸びして標準に絞ることによって薄くした本を選ぶのがおすすめです。 薄くなった分、網羅性が心配な人もいると思いますが、結局こなせなかったら意味がありません。完走できるかをしっかり考えてください。
もちろん、このサイトや関連動画を利用していただくのも大歓迎です。なるべく少ない記事数で最大のリターンが得られるようにこれからも頑張って書いていきます。
解説の言っていることが分かるならどんどん難しいレベルに挑戦しよう
目次取り組んでいた問題集が終わった人、おめでとうございます。よく頑張りましたね。その調子でどんどん次のレベルに挑戦していきましょう。
1つ前のアドバイスで一度解けたら解き直さなくても大丈夫と言いましたが、それは重要な項目は次のレベルに行っても再登場するからです。 また、先程伝えたように基礎は応用に登場することでなぜ大事で、どう使うのか分かるようになります。 つまり、次のレベルに進むことは今のレベルを放棄するわけではありません。むしろ、より理解を深めてくれます。
一方で「背伸びして難しい本をやっても結局何も身に付かない」という話もよく聞きます。それこそNG行為として扱われることも多い気がします。 もちろん、なんとなく雰囲気で進めていくともう一度やっても解けなくて「あれ?」となるでしょう。
しかし、デバッグと理由付けの作業をしていればこの現象は起こりえないはずです。なぜなら、これらの作業をするときに強制的に基礎に戻されるからです。 難しい本に手を出すこと自体は何も問題無いです。ここでも結局その取り組み方に問題があるわけです。
また、上の説明から「解説が何を言っているのかさっぱりわからない」という状況ならレベルが高すぎることも言えます。(当たり前といえば当たり前ですが…) このような状況では理由付けができるわけが無いですよね。
学習の到達レベルを上げれば合格できる可能性ももちろん上がります。それに正しく取り組めば効果的な基礎の復習にもなります。「まだ早いかも」と思わずに挑戦していきましょう。
問題集を選ぶときにどの本が自分のレベルに合っているか迷いますよね。そこで、レビューを参考にするときに気をつけたいポイントをお伝えします。
それは、問題集の難しさは到達レベルで語られることが多いことです。 つまり何が言いたいかというと、難しいと言われている問題集でも順番に解いていけば取り組みやすいものもあるということです。
特に理科系の問題集に多いのですが、一つの現象をテーマにして複数の問題を設ける形式があります。このとき、丁寧に誘導がある本はレビューで言われるよりも取り組みやすいです。 筆者も、難しいと敬遠していた本が実際にやってみたら良書でもっと早くやっておけばよかったと思った経験があります。
もし本当に難しかったら後回しにすればいいので、とりあえずやってみるのがいいと思います。「自分に合わせた本を選ぼう」とは言うものの、結局は取り組んでみないとわからないですし。 また、ある程度調べてどの本を選ぶか迷ったらデザインが好きな方を勢いで選ぶのがおすすめです。結構その後の勉強のモチベーションに影響します。
直前期になったら標準問題に戻る
目次ここまで、「どんどん新しい問題、応用問題を解いて難しいレベルに挑戦しよう」というアドバイスをしてきました。ただし、直前期になったら標準問題を詰めましょう。 特に、難関校を目指している人は注意してください。
本番ではどれだけ知識を蓄えたかとともに、どれだけ速く知識を引き出せるかが重要になります。 試験に高確率で出そうなレベル帯の問題は"解ける"に留まらず、"高速で解ける"まで仕上げておきたいです。 そのため、標準問題の勘を磨くために戻って演習しておきましょう。
高速化に関連して暗記についてお話します。 「論理を理解していれば暗記はいらない」という意見がありますが、時間制限のある試験の対策を考えるならば暗記は必要です。 丸暗記ではなく、理解している問題をより高速で解くために暗記するわけです。
また、有名問題と呼ばれる問題では知っているか知らないかで大きく有利不利が出ます。哲学者ではないですが、試験ではまさに「知識は力」です。 こういったものも直前期に確認しておくと、点数を拾ってくれるかもしれません。
熱気溢れる夏休みに比べて直前期になるとなんとなく「勝負はもう決まっている」というような雰囲気を感じることがあるかもしれませんが、全然そんなことはありません。 夏休みに見た問題は覚えていませんが、一週間前に見た問題は覚えている可能性があります。 直前期は費用対効果が跳ね上がる大チャンスです。 定期テストを一夜漬けで乗り切るタイプの人は本領を発揮して(?)頑張ってください。
(注:やり過ぎて体調を崩さないように気をつけましょう。)
勉強時間や問題数といった客観的な指標には注意
目次ダラダラ勉強しないために勉強時間や解いた問題数を記録してる方はえらいです。なんとなく勉強していると、いつの間にかボーッとしてきて眠くなりがちなので効果的だと思います。 ありがたいことに学習記録用のアプリの登場によって簡単に記録して振り返れるようになりました。
そんなマメな人に注意なのが、勉強時間やページ数といった客観的な指標だけに囚われないようにしてください。 その指標は意外と実状を反映していないかもしれません。
例えば、数学の総合問題を1時間かけてデバッグと理由付けまで含めて1問解いた場合と計算問題を1時間かけて5問解いた場合を比較します。 客観的な指標を比べるとどちらも1時間の勉強に対して前者は1問、後者は5問解いているのでこの結果だけを見れば後者のほうがより勉強しているとなります。
しかし、「やっている内容が違うのだから比較はできない」と思ったのではないでしょうか。 そうですよね、2つは明らかに負荷が違います。何なら計算問題の内容にもよりますが、後者はもう少し速く終わらせられるような気もします。
一番大切なことは「どれだけ頭を働かせたか」です。しかし、これは直接測れないのでどうしても勉強時間や解いた問題数を計測することになります。 このとき上の例のように失われてしまう努力量が存在します。特に、デバッグと理由付けの作業は結果だけを見るとただ時間が経過しただけで数字に努力が出にくいです。
客観的な指標はあくまで参考にして、振り回されないように注意しましょう。
勉強法は調べた上で好きにやろう
目次ここまで勉強法に関するいろいろなアドバイスをしてきました。しっかりやり方を調べてから勉強しようという姿勢は素晴らしいです。
調べた上で、冒頭にも伝えたようにどのアドバイスを受け入れるかは自分自身で決断しましょう。 また、常にワンパターンの効率的な勉強法だけをやっていると必ず飽きが来ます。違う方法も試したりしてあまり気負わずに好きにやっていきましょう。 普段と違う体験が記憶に残ってなぜかずっと覚えていることもあります。
焦らずに一問一問丁寧に解いていけば成果は出ます。頑張る皆さんを応援しています。
2. まとめ
目次今回伝えたアドバイスの一覧です。
- アドバイスを受け入れるかどうかは自分で決める
- 応用を解くから基礎がわかる
- 間違えたら自分の答えをデバッグする
- 正答が再現できるように理由付けを考える
- 「一冊を"完璧に"」ではなく「一問を"丁寧に"」
- 問題集を周回するときは意味を考える
- 解説の言っていることが分かるならどんどん難しいレベルに挑戦しよう
- 直前期になったら標準問題に戻る
- 勉強時間や問題数といった客観的な指標には注意
- 勉強法は調べた上で好きにやろう