2次関数、絶対値・ガウス記号を含む関数のグラフ/グラフと方程式のつながり
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目次
1. この記事を読むのに必要な前提知識
目次この記事に出てくる用語の解説とそれを詳しく扱っている記事へのリンク集です。
「2の倍数である」と「偶数である」のように2つの条件が数学的に同じ意味を持つとき「2つの条件は同値である」という。 また、もとの条件と同値な条件に変形することを同値変形という。 (必要条件・十分条件についても以下のリンク参照)
「2の倍数である」と「偶数である」のように2つの条件が数学的に同じ意味を持つとき「2つの条件は同値である」という。 また、もとの条件と同値な条件に変形することを同値変形という。 (必要条件・十分条件についても以下のリンク参照)
2. 2次関数のグラフ
目次
ただ、1次関数のときとは違い、そのままだとグラフの形がよく分かりません。なぜなら、
まず、
この平方完成と、前回のグラフの平行移動の知識を使うと、2次関数
つまり、
(グラフ載せる)
上のようにグラフが落とし穴のような形になる関数を下に凸、反対に屋根のような形になる関数を上に凸といいます。(グラフ自身についても同様に「下(上)に凸なグラフ」と表現することがあります。)
2次関数は
下に凸を「落とし穴のような」と表現しましたが、厳密には次のように定義されます。
任意の
を満たすとき、
同様に、任意の
を満たすとき、
式だけ見ると何を言っているのか見失いそうですが、
の
(グラフ載せる)
この定義から結果的に下に凸なら落とし穴のような形、上に凸なら屋根のような形になります。
注意点として例えば定数関数
のように等号を消して狭義の下に凸な関数を考えることもあります。(上に凸も同様)
また、一般の一変数関数
という同値変形を使って求めることが多いです。
2次関数の2階微分は
そして英語表記を見るとわかるように上に凸な関数は凹関数とも呼ばれます。(concave=凹面の) つまり、下側から見て凹凸を判断します。なので、単に凸関数といった場合は"下"に凸な関数のことをいうので注意してください。 (凸関数・凹関数という呼び方が高校数学で使われることは少ないですが)
最後に、凸関数・凹関数は多変数関数に拡張することができます。凸関数・凹関数の定義は狭義の場合を含めて上と全く同じです。(詳しくは、
(補足) 細かい内容なので明記しませんでしたが、凸関数・凹関数の定義に内分点が登場することから、
そもそも関数がその内分点と同じ
(図を載せる)
また、放物線にはその直線に対して線対称となるような直線を引くことができます。
この直線を軸、軸と放物線の交点を頂点と呼ぶので覚えておきましょう。
2次関数
2次関数はグラフが放物線になる関数のひとつです。 放物線とは文字通り「物を放ったときの軌跡」なのですが、グラフを回転させても放物線と呼ぶので、2次関数以外にもグラフが放物線になる関数はあります。 このような関数やそもそも放物線の"定義"が気になる方は「(リンク:2次曲線(準備中))」をご覧ください。
ところで、
中学数学ではひとまず丸暗記することが多い解の公式を導出してみます。
2次方程式を解く基本的なアイデアは
2次方程式
定数項を移項して両辺を
平方根を考えて、解を求めると、
見覚えのある式を導出することができました。
ここで、グラフを使って2次関数の係数の符号を判定する問題を紹介します。この問題を通して、2次関数のグラフに慣れていきましょう。
グラフが下に凸か上に凸かで
軸が
微分を知っている人は
グラフのどこを見れば
まだ登場していない項目ですが、
ここまでの流れから考えるとわかりやすいですが、初見では気づきにくいかもしれません。
2次関数のグラフは軸に対して線対称なので、
さらに、
(6)までに求めたものを使う方法と、
まず、1つ目の方法は今までに登場した式から
次に2つ目の方法は微分を使います。
3. 絶対値を含む関数のグラフ
目次続いて絶対値を含む関数のグラフがどうなるか見ていきます。
のグラフ
目次
はじめに関数
関数
なぜこうなるのか説明します。
このように、
ここで、先程学んだ2次関数のグラフの知識と合わせて例題を解いてみましょう。
2次関数のグラフをかきたいので平方完成をします。 ここではより効率的に計算するときの考え方を見ていこうと思います。
まず、手順通り
この次がポイントです。かっこの中の
どこをショートカットしたかというと、中括弧の部分です。
平方完成を紹介したときは
やっている内容は同じですが、無駄に足し引きを考えない分、速く計算できます。
というわけで、
あとは分配法則を使って、定数項をまとめるだけです。
より途中式を省略するなら
とするとより速く解けます。ただし、計算ミスが起こりやすくなるので時間があるならしっかり途中式を書いたほうが無難です。
ここからグラフをかくのですが、グラフをかくときはなるべく多くの情報を使って正確なものをかいたほうがいいです。 そのために次のことに気をつけましょう。
- 定義域を確認する
- 対称性・周期性を確認する
- 座標軸との交点が簡単に求められそうか確認する
これらを確認することでより丁寧なグラフをかくことができます。 さらに学習が進んで極限や微分を勉強すると他にも気をつける項目が出てくるので気になる人は「数Ⅲ微分法(準備中) 」をご覧ください。
今回の例で確認すると、まず定義域は指定されていないので実数全体と考えられます。 次に放物線なので軸に関して線対称です。周期性はグラフが繰り返し同じ形をすることをいいますが、放物線にはありません。
最後に座標軸との交点ですが、
(グラフ載せる)
また、軸は直線
(1)ができれば(2)はほぼできたようなものです。
グラフ載せる
絶対値記号が2つも出てきますが、うまく
まず、右辺全体に絶対値がついているので、
すると、
順番に見ていくと、
(グラフ載せる)
そして、これを
(グラフ載せる)
折れ線型のグラフ
目次今回はいきなり例題を通して考えてみたいと思います。
絶対値記号がたくさん登場していて複雑そうです。困ったときは絶対値の原則的な外し方に従いましょう。
場合分けして絶対値を外していく方針で進めていきます。それぞれの絶対値の中身が
[1]
[2]
[3]
[4]
これらをつなぐと、グラフは下のようになります。
(グラフ載せる)
このグラフを見ると、最大値は存在しませんが、最小値は
順番に考えていけば上のように解くことができますが、今回なぜわざわざ紹介したかと言うと、この問題には別の視点から解く方法があるからです。それが次の方法です。
折れ線関数はグラフの傾きに注目する
ここではいきなり場合分けをせずに、絶対値の中身が1次式である項の和(と定数倍)になっている今回のような関数について、グラフがどんな形になるか考えてみます。
すると、絶対値を外したとしても次数が大きくなることはないので、複数の1次(以下の)関数を繋ぎ合わせたものになっていることがわかります。 つまり、この関数のグラフは直線が繋ぎ合わさった1本の折れ線になります。
このような理由から「折れ線関数」と呼んでいました。なお、一般的な名称ではないと思うのでテストの答案などでは使わないほうがいいと思います。
このことを利用して、各直線の傾きに注目しましょう。 直線の傾きとグラフが通る一点がわかればすぐにグラフ全体がわかります。この方法を使うと以下のような別解を考えることができます。
グラフが折れまがる点の
(表載せる)
あとはグラフが通る点が一点でも具体的にわかれば全体がわかります。グラフを実際にかく場合なら、折れまがる点の座標はすべて求めておくのが安心でしょう。
(グラフ載せる)
もちろん最初に紹介した方法でも解けるのですが、大事なことは「より本質に絞って手短に解いていること」と「グラフの概形をあらかじめ知っていて、それを意識しながら解いていること」です。 特にここから発展して文字定数が入ってくると解きやすさが大きく変わってくると思います。 そのような例題については「折れ線関数の最大・最小(準備中)」をご覧ください。
また、「傾きに注目する」というアイデアは微分でも登場します。こちらについて詳しく知りたい方は「微分(準備中)」をご覧ください。
4. ガウス記号を含む関数のグラフ
目次関数のグラフ3つ目はガウス記号がついた関数のグラフです。そもそもガウス記号が初登場だと思うので、今から紹介します。
記号
ここで、整数部分と小数部分について負の数では直感と異なるので注意してください。詳しくは以下の補足で解説しています。
正の数では直感通りなのですが、負の数の整数部分・小数部分は注意が必要です。実はこの2つの定義は以下のようになっています。
実数
ポイントは小数部分が0以上1未満になっている点です。この定義より、例えば
このガウス記号を実際に使った関数のグラフがどうなるのか見ていきます。
新しい記号が出てきましたが、グラフをかくときはほぼ作業です。絶対値のときと同様に場合分けで解いていきましょう。
ガウス記号が何かを知っていれば場合分けをするだけなので、いきなり解答にいきます。
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
よって、グラフは以下のようになります。
(グラフ載せる)
5. グラフと方程式のつながり
目次関数の様子を表すのに便利なグラフですが、実は方程式や不等式を解くときにも使えます。どういうことなのか解説します。
このように考えると連立方程式の形になります。連立方程式ということは方程式の実数解はグラフの交点で表されます。また、同様のことが不等式でも成り立ちます。
例えば、不等式
となります。これはつまり、
この方法の威力が感じられるわかりやすい例は2次不等式です。今回学んだ2次関数のグラフの知識を使ってグラフをかくことができ、それらの交点は2次方程式
また、方程式についても単純な2次方程式を解くだけなら必要ないですが、「
2次方程式・不等式に限らず使えて高校数学では頻出の発想なので、しっかり覚えておきましょう。
6. まとめ
目次今回の内容をまとめると、